というタイトルのブログは巷に満ち満ちている。
Web2.0というのが何かすでに知っており、暇つぶしにでも、という人は斜め読みすれば、たまに得るものもあるかもしれないが、何かまだ知らず、これから勉強しようという人はけしてそういうブログをまじめに読んではいけない。このブログのエントリも然りである。わからないことがあればまず辞書や百科事典、原典を当たるべきである。手元にそれらがある場合はなおさらである。具体的にはWikiのWeb2.0のページや、オライリーの記事である。
第二次ソースあるいは、その他大勢の人間が非体系的に書く説明文は、往々にしてわかりやすいことをわかりにくく説明してしまうことが多く、かえって遠回りしてしまう、また誤解したまま先に進むという危険性がある。ただこのオライリーの記事は言いだしっぺのエゴのようなものを感じるし、本人が何が本質かよく理解していない節があるので、その辺は後で私のエゴで解説したいと思う。
Web2.0という言葉はWikiにもあるように「バズワード」である。つまり巷であれこれわいわい言われている割にはきちんと合意がなされたクリアカットな定義がない言葉であり総称である。
私が今まで目にしたWeb2.0の説明で一番わかりやすいと思ったのが、
Web1.0は役にたつインターネット
Web2.0はそれに加えて楽しいインターネット
というものである。
Web2.0がバズワードである以上、これである意味十分な説明になっていると考える。
とはいえ、Web2.0という現象自体は確固とした重いものであり、Web1.0つまり最初のインターネットが普及したときのインパクトを第一段ロケットとすると、Web2.0は第二段ロケットであり、今まさに点火されたという感じだろう。
Web2.0の実物はこれである。Googleマップのラーメン検索であるが、あとで説明したいと思う。
さて、このような風向きを企業の経営者とかが察知して社員向けにセミナーを開いたりしているようだ。外部から専門家を呼ぶのが一般的だろうが、個人的にはどの程度そういうセミナーに意味があるのかな?と疑問に思う。Web2.0について知りたければ、冒頭に張ったようなリンクを読めばいいことであるし、優秀な社員であればさらにセルフリサーチして、IT戦略の会議までには消化して議論のたたき上げになるだけの知識は身につけているだろう。そのような社員でなければセミナーなんて参加させても一緒である。そういう宿題を出してもこなされないという不安があるからこそ外部から専門家を呼ぶのかもしれないし、あるいは単にわが社はこの路線で本気でやっていくつもりであるという牽引役の旗振り、サインなのかもしれない。また暗に現実にどのように対応していけばよいか?などと専門家に示唆してもらおうという実入りを期待する甘えもあるのかもしれないが、そのようなコンサルティング業務とセミナーの講義は別物であろうと思う。
そもそもWeb2.0のWebとはなんだろうか?基本を押さえておきたい。
Webとはホームページのあつまりである。正確にはあつまりであった。
インターネット上のホームページが相互のリンクによって接続されてその全体像が蜘蛛の巣のような網の目状になったことからWebという名前がついた。当初はもっぱらWorldWideWebと呼ばれていたが、最近では単にWebである。
ホームページのあつまりであったと書いたのは、当初はWeb1.0の構成要素であるホームページが静的なものであり、そのリンクによる相互の導線が単調であったのだが、ここ最近になってホームページがもはや「ホームページ」ではなく、それらはWebアプリケーションと呼ばれる動的なものに進化したサイトも現れたからである。Web1.0のころはWebとインターネットというものがそれなりに明確に区別されていたが、Webアプリケーションなどがそこに加わってくるとわけがわからなくなり、その区別は無くなってしまったように見える。つまりWeb2.0というのは、Web1.0のころのWebサイト、ホームページの総体のことではなくて、インターネットそのものであるということである。ここが意外と知られていないWeb2.0のトリッキーなところである。Web1.0ではインターネットの一部分を指していたのであるが、2.0になって知らない間にそれがインターネットの全体のことを指してしまっている。2.0、2.0と言う割に、この1.0との違いについてまったく無自覚な人がほとんどであろう。
Webブラウザーというように、ほとんどの一般人にとってインターネット=Webへの入り口はIEやFirefoxなどのブラウザなのであるが、ここを介しておれば、そこはすべてインターネットでありWeb2.0である。要するにブラウザさえ介しておれば、もうなんでもありになっている。チャットもできれば、GoogleスプレッドシートのようにExcelもできればGmailもできる。オンライントレードもできる。終いにはYouOSというブラウザの中のOSまで出る始末である。それがWeb2.0だ。だから一部の人間が言うようなWeb3.0というのは「ない」。ありえないだろう。なんでもありの次の段階などないからである。
結局このように見ていくと、Web2.0のWebという言葉の由来がホームページのネットワークという限定的なものであったので、ブラウザを介したインターネットのなんでもありの世界であるWeb2.0以前以後で比較すればそりゃ違うのは至極当然である。だからオライリーのようにWeb1.0と2.0を1:1で比較すること自体どうか?とも思う。わかりやすいといえばわかりやすいが、そもそも比較する器が違う。一部と全体を比べれば違うのは当たり前である。
さて、なんでインターネット(=Web2.0)はパワフルなのだろうか?その答えは単に「繋がるから」である。人間と言う個体は世界中に距離を持ってちらばっている。たとえ職場の隣のデスクの同僚であっても距離はある。この物理的な距離をまとめてゼロにするということが繋がるということであり、インターネットである。距離をゼロにするというのは集めるということである。繋がる=アクセス数を増やす、コミュニティを作る、集客するというのは、とりもなおさず人間をそこに集めるということだ。「出会い系サイト」などという言葉はまさにその露骨な表現である。そこでは目的が目的であるので、あとで物理的に肉体的に出会う必要はあるのだが、本質的には実際そのサイト上ですでにもう出会ってしまっているわけである。人が集まると、いろんなことが起こるし、いろんなことが可能になる。冒頭に出したwikiというのも人が同じ場所に集まって作業した集大成である。それぞれの知恵と労力がそこに結集しており、同じ場所を訪れた人間がまた再利用できる。ネットオークションというのも同じ場所に多くの人間が集まるからこそできる仕組みである。オンライントレードで世界中のマーケットの商品を取引できるというのも、相手側のトレーダーと自分が同じ場所にいるからに他ならない。一昔前は同じ取引所へ足を運び顔をつき合わせて売買成立とかするしか方法はなかったのである。
結局、インターネット(=Web2.0)の進化の目指す方向とは、この繋ぎ方(=人の集まり方)を究極まで効率化していくことにほかならない。逆にいえばWeb1.0というのはこの繋がり方が甘い未熟な段階であったといえる。静的なホームページというのは、更新されない、動的に変化しないホームページのことであるが、これはその末端にいる人間とそのホームページのつながりが弱いということである。そのホームページを見る人間も単にそのHTMLをダウンロードするだけであり、流れは一方向で、自分のほうから相手への繋がりはまったくない。Web2.0と言われる今はどうかというと、こういうブログのように、簡単に頻繁にエントリできて私とこの「ホームページ」の繋がりは非常に強い、また読者も簡単にコメントをつけれる、これは受けてとの繋がりが強いということで双方向である。コメント欄でチャットもできるだろう。双方向の強いつながりがある、これがブログがWeb2.0であるという理由の第一である。
つぎに、これを縦方向の繋がりとすると、横方向に相当するのは、そのHP同士のリンクのあり方である。静的なホームページでは片方からリンクしても相手側のHPが消滅すればそれっきりであった。これを動的に大々的に解決しているのが実はGoogleやYahooなどの検索エンジンサイトである。常に相手側サイトをクロールし、最新のリンクをそのサイトにアップデートしている。これは実はWeb2.0的であるといえる。Googleがその名声の基盤を築いたページランクシステムというのは、相互のリンクの重みで評価しているので、この繋がり具合を強化するというWebの進化過程では実は当然の方法論であり、この方法論が世間に評価されたというのも当然の帰結であると言える。ブログで言えば相互のトラックバックの仕組みが相互リンクであり、RSSという仕組みにより検索エンジンでなくてもこのようなことができてしまう。これが強い横の繋がりである。ブログがWeb2.0と評価される理由その2である。
さてGoogleマップのラーメンであるが、もう説明は不要かもしれない。Ajaxでインタラクティブな操作ができるインターフェイスであるとか言うのは本質ではない。あえて言うならば、インタラクティブ、リアルタイムのインターフェイスというのはユーザとそのサイトの結びつき繋がりを高める道具立てである。もっとも大事なのは、向こう側にいるラーメン屋、あるいはライバルのラーメン屋同士とこっちの自分がどのように効率的に緊密に結びつけられるかである。
Web2.0のセミナーにより企業がWeb2.0の意味やその戦略を求めているのはお門違いである。Web2.0とは人と人との結びつきを緊密化する手段=テクノロジーにすぎず、顧客との結びつきが目的である彼らがその手段に振り回されることはまったく本末転倒である。だから、彼らがやるべきことはHPデザインを外注するように、その手のWeb2.0技術職の人間に外注すればよいだけということになる。単なる手段の技術的な問題である。そしてこれこそがITの専門家が彼らに与えるべき回答であると思う。
by lifestyleuehiso
■山本法生=儲かるだの稼ぐだ…